省エネ住宅は構造躯体や外皮がポイント

省エネ性能と一口に言っても、最低限のものから最新のスマートハウス的なものまでピンからキリまであり、混同しやすいですね。スマートハウスを建てれば全ての減税や優遇が受けられるというわけではありません。ここでまず「省エネ住宅」「スマートハウス」「認定長期優良住宅」「ZEH住宅」等々の違いを大まかに頭の中で押さえてみましょう。

断熱材
あまり見ることはありませんが壁や屋根には断熱材が入っている(写真協力:ダイワハウス)
まず「省エネ住宅」とは、冷暖房機器による消費エネルギーを減らすなど、省エネルギーに配慮した住宅のことをいいます。 具体的には、壁や床、天井、屋根に断熱材を入れたり、断熱・気密性能の高い窓やドアを用いる等によって、室内と室外との熱の出入りをできるだけ少なくするというもの。

冷暖房による二酸化炭素の排出量を減らして地球温暖化防止に貢献できると同時に、光熱費を抑えて家計にもやさしい、というメリットがあります。省エネ住宅では、住宅の構造躯体、つまり家のアウトライン(外壁の断熱・気密性)を構成する窓や壁やドア・床などの断熱気密性能がどれだけあるか、つまり熱を逃がさない構造になっているかが問われ、住宅業界ではパッシブ・エネルギー住宅に属するといわれています。

スマートハウスはアクティブ設備がポイント

スマートハウス設備
典型的なスマートハウス設備「太陽光発電システム」「蓄電池」「HEMS」
次に、震災後に増えてきた「スマートハウス」とは、「太陽光発電」などがつくる電力や電力会社からの電力、蓄電池に貯めた電力など、家のエネルギーを賢く(スマート)使う住宅のことを言います。 賢く使うためにHEMS(ヘムス:ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を利用するのが特徴です。

どちらかというと前述の省エネ住宅に、太陽光発電や燃料電池といった創エネルギー設備、蓄電池といった蓄エネルギー設備、それらのエネルギーを管理するHEMS設備をプラスしたもので、住宅業界ではアクティブ・エネルギー住宅に属するといわれています。

長期優良住宅は維持管理や広さ条件がポイント

もう一つ、減税の割り増し条件に出てくる「認定長期優良住宅」というものがあります。長期優良住宅に認定されるには、以下のような長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている必要があります。

1.長期に使用するための構造及び設備を有していること
2.居住環境等への配慮を行っていること
3.一定面積以上の住戸面積を有していること
4.維持保全の期間、方法を定めていること

点検口
長期優良住宅は維持管理に必要な点検口の設置などが求められる(写真協力:エス・バイ・エル)
これらの措置の基準として、9つの性能項目「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」「可変性」「バリアフリー性」「居住環境」「住戸面積75平方メートル以上」「維持管理・更新計画」「省エネルギー性」が定められています。

長期優良住宅と認定されるためには、これら9つの性能項目の基準を満たすように住宅の建築計画及び一定の維持保全計画を策定し、住んでいる自治体などの認定を受ける必要があります。認定を受けた計画に従って建築をし、維持保全を行います。

最先端をいくZEH住宅

エコ・コルディス
パナホームは2018年までに全戸建商品をZEH化すると表明(写真はエコ・コルディス)
「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」は、減税や金利優遇の条件にはなっていませんが、大手住宅企業を中心に2020年までに標準化を目指している最新の省エネ住宅です。照明や冷暖房など日々の生活で使う消費エネルギーと、太陽光発電や燃料電池など住宅でつくった創エネルギーを1年間で比べ、創エネルギーのほうが消費エネルギーより多い、または差がゼロになる住宅を指します。

これらを整理したうえで、次回はどんな住宅を建てれば、どんな減税や優遇が受けられるか整理してみましょう。